みなさんこんにちは!本日も亜土梨絵のブログにようこそ。
今回は日頃よくよく思う、湯本松之山温泉街のお水はなぜおいしいのか? という事に視点をあてて考察してみました。
松之山の湯本温泉街のお水は甘みがあってとてもおいしく、都会からよーへりにきた合間に亜土梨絵にコーヒーを飲みにこられて、おかわりをなされる方、感嘆される方、旅館や食堂の食事のクリアー感に納得される方が続出されています。
勿論水は水道から、亜土梨絵も含め、飲食や製造での湧水の使用提供は保健所による厳正な検査を経ないと禁止されていて、湯本で毎年検査を受けて公表までされているのは知っている限り滝見屋さんと薬師堂の水源だけです。
では通常の水道水がなぜこんなにおいしいのか? 答えは環境、特に深い雪と森 適した標高にあると思います。
画像は湯本簡易水道の水をろ過してくれる、大松山山頂(秋)からの景色

水源地「わさび沢」はこの山の中腹に位置し、殺菌処理施設もすぐそばにあり、温泉街はそこから300メートルほど下ったところからはじまります。

冬は4メートルを超えるどか雪が降り積り、春には融けて一気に水となり地表、地中の木々の根っこや地層というろ過装置を毎年必ず浄化、リセットしてくれます。 春先に山歩きをしているとわかるのですが、地中の水分が飽和状態となって水膨れし、山肌のあちこちから飲めそうなくらいのきれいな水がしみだしてきています。 ただしそれは良い事ずくめではなく、木々の根がしっかり張っていない所や、急な斜面では土砂崩れを引き起こす厄介者。
日本には四季があってこの回路が成り立っているから水の通り道、地中の元素が洗い流され、軟水になった要因の一つなのかもかもしれませんね。 一般的には水が地中に眠っている時間が短いから軟水なのだと言われています。
(これは公開後の追記ですが歴史や文化的側面はあれど、日本は軟水なので海藻や野菜からミネラルとタンパク質を取りやすい菜食文化になったという考えもあるようです。つまり普段飲む水でミネラルをとれない分、食事でミネラルを取りやすく進化したという事、欧米は違って飲料水からミネラルをとれるので、肉からタンパク質。人間も本来体にとって必要な物を本能で察して捕食する生き物でした。あくまで考察です。)
じゃあ雪がたくさんが積もるところはどこでも水がきれいなんだ。と思ってしまうかもしれませんが、すべてにおいてそうなのではなく、山の標高が高すぎると1000~2000mの高さの大気中に多く分布するエアロゾル(PM2.5など汚染物質を含む大気成分の総称)と言う多種の物質が山肌についてしまい、本来春に水となって大地を浄化するべき雪を汚します。 本州では高い標高で見られる樹氷を溶かしてフィルターを通したらフィルターが黒ずんだと深刻な問題にもなっています。
また、車など排気ガスを出す車両等がたくさん入り込める環境は当然雪を汚す結果となります。因みに大松山は標高672メートルと比較的低く、豪雪の為、車両は上湯までしか入れません。雪が多いのは不便かもしれませんが、奇跡的な好環境。(^^)
湯本の水はそんな素晴らしい自然環境で作られ、眼と鼻の先で処理されて配水されています。野菜もそうですが、水も産直。トレーサビリティとサスティナビリティがしっかりわかるのが一番だとおもいます。
まだちょっと続きますよ。 今度は数値で見てみます。
一枚目はH21年 2枚目はH26年の水質検査結果。3枚目は比較画像です。 マークをしてあるのは変動のあった項目です。拡大してご覧ください。 H26年は検査項目として9項の亜硝酸態窒素が1項増えているので途中からずれておりますのでご注意を。



すごいですよね。ほとんどの項目が基準値の1/10や1/100。もっと少ないものまで!硬度の基準である38項は軟水で知られる日本いう基準にあって42と、かなり軟水!(WHO基準だと120以下で軟水120~300で中硬水300以上で硬水。超軟水で知られる苗場セイズは16。東京で60~70)雪の量や、野生動物の分布、生態系が変わった事もあるのでこれからそちらに推移していくかはわかりませんが、5年で微妙に軟化まで.しています。
それから湯本地区の簡易水道の水はおそらく宿泊地という事もあって、他では行っていない殺菌工程が加わっているのですが、それは遠心分離や薬剤の投入ではないので味覚、嗅覚の感応検査に影響しているかはわかりません。
スープや出汁、お茶やコーヒーといった抽出飲料は軟水の方が成分を良く抽出できることは周知の事実。
亜土梨絵と同じ豆を買って淹れているお客様に、あまりにも自分が淹れるのと味が違うので淹れ方を教えてくれと頼まれた事があったのですが、逆にこの水でご自分で 入れていただいたら、おいしくて拍子抜けされた事があります。 なんせコーヒーの成分は99.5%水ですから!
日本人の和食の板前さんがフランスでフェアを開催するにあたってかつおだし用に軟水をオーダーしておいたら硬水が届いて大変だったというエピソードも。 とりかえろ!と運送屋に言ったら、おれは運ぶのが仕事で取り換えるのは役割じゃない。と荷物を置いてさっさと帰ってしまったらしいです。 青柳の小山シェフだったかな?
ただすべてにおいて軟水がよいのではなく パスタをゆでるには硬水が良いらしいです。生パスタをゆでるお湯は硬水を加える。というこだわりのシェフもいらして 融け込んでいる元素が多い硬水の方が生地に対する水分の侵入速度が緩やかだとか、マグネシウムがでんぷんのα化を強めるとか。たしかコントレックスというミネラルウォーターを使われていた気がします。これは恵比寿のイタリアン。
それでは〆にはいります。
要は手つかずの森林や自然環境、汚染源が少なく雪深い等、いろいろな要因が重なった貴重な環境が作り出している水であるという事。
環境の一環というと、配管内の環境もあって、実は蛇口によっても使用頻度等で微妙に違っていて、亜土梨絵ではお客様のお口に入る水は、三つある給湯以外の蛇口から一番おいしいと感じる右端の蛇口に家庭用のちいさな浄水器をつけて使っています。 フィルターは定期交換しておりますが、確認できるほど汚れたことはありません。
この水道水のおいしさは、旅館や飲食店の食事がおいしい理由でもあります。
何でも便利であればよいわけではないんですね。 傍から見れば不便におもえる環境でもその環境でしか成しえない事もある。 環境を変えて生きていくのではなく環境に適応して生きるのが本来の動物の姿だとおもいます。
嗚呼大自然万歳!
それでは最後にいつもの奴で
松之山温泉街のおいしい水 + 新鮮なスペシャルティコーヒー豆=
間違いないでしょう(^o^)/